

現実には内発的動機の弱い子供のほうが多い。そういう子には、アメとムチの賞罰が有効だ。教育心理学者たちはアメとムチで勉強させることに批判的だが、私はそうは思わない。内発的動機が弱い子の場合、本人の自主性に任せていたらいつまでたっても勉強をスタートできない可能性が高い。まずは勉強をスタートさせることが最優先だ。自発的に始めた勉強であろうとなかろうと、基礎学力をつけておくことは人生にとって必要不可欠なのだ。したがって、内発的動機が弱い子には、外発的動機を生かすことを考えるべきだ。勉強をしたらほめる、勉強をしなければ叱るということから始めて、徐々に成績が上がったらほめる、成績が下がれば叱るというようにしていく。初めは叱られてばかりだろうが、勉強ができるようになっていくと、だんだんとほめられることが多くなり、大学受験勉強が好きになっていく可能性が高い。
ここ数年で集団塾が衰退し、個別指導型の塾が激増している背景には、「ゆとり教育」、入試パターンの多様化、相対評価から絶対評価への評価制度の変化、学期制の多様化などがあげられる。二学期制と三学期制の学校が混在するようになった今日では、試験範囲や試験回数もかなり異なるため、もう画一的な指導では対応しきれないのだ。また、費用面でも個別指導のシステムが確立され、最近では個別指導塾でも集団塾のおよそ一・五倍程度に抑えられている。講師が一人の生徒に費やすエネルギーを考えると、コスト的には割安といえる。月謝の目安は中学三年生の場合、集団塾で月額二万円前後、個別指導塾で三万円前後だという。入試対策も含めて一人ひとりに適切な指導がなされるならば、プラス一万円が必ずしも高いとはいえないかもしれない。ただし、個々の事情もあるので、この辺は高いか安いか、評価が分かれるところである。
予備校というのは全般的なカリキュラムは優れているが、一人ひとりの子供に合ったカリキュラムでやってくれるわけではないから予備校任せにしないことが大切だ。自分の子供の特性をよく見て、必要があれば親がしっかりと介入すべきだ。最も気をつけなければいけないのは、志望校選び。予備校も商売だから、受かりそうな子はできるだけ上の学校を受けさせようとする傾向がある。東大○名合格、早稲田大○名合格、慶応大○名合格というのは、予備校の経営を大きく左右する。かつて高校が東大合格者数を発表していたころは、東大合格者数を増やしたいために、医学部に行きたいという子を、東大受験に変えさせるという例もたくさんあった。